2024/11/2

シンスプリントの治療するポイントについて②~根本改善への取り組み~

 
シンスプリントの治療するポイントについて②
~根本改善への取り組み~
 
 
 
 
シンスプリントの治療するポイント以下の2点です。
 
①後脛骨筋と長趾屈筋とヒラメ筋の動きの改善
②ニーイントゥーアウトとなる動作の改善
 
今回は②の「ニーイントゥーアウトとなる動作の改善」について徒手的な治療アプローチと運動による動作改善についてお伝えしていきます。
 
前回紹介しました、
「①後脛骨筋と長趾屈筋とヒラメ筋の動きの改善」につきましては、 こちら からご覧ください。
 
 
 
 
まずはニーイントゥーアウトという『間違った動き』について解説していきます。
 
ニーイントゥーアウトとは
 
足の指先に対して膝が内側に入ってしまう使い方のことをニーイントゥーアウトと言います。
 
この使い方によって今回のテーマであるシンスプリントだけでなく、足底腱膜炎(足底筋膜炎)後脛骨筋腱炎、膝の症状であるガ足炎坐骨神経痛など、その他様々な症状の原因となります。
 
それもそのはずですね。
 
イラストのように足の内側に荷重すると土踏まずはつぶれ、適切に体の重さを吸収できなくなり足底腱膜に負担をかけます。
 
 
またシンスプリントの原因筋の後脛骨筋や長趾屈筋は内くるぶしの後方を通るので内側に荷重することによって伸ばされるストレスが加わり腱の炎症も起こります。
 
 
膝が内側に入ることで膝の内側を通る筋肉は、やはり遠回りし伸ばされながら筋肉は収縮をしなければならないので膝の内側にあるガ足に負担がかかります。
 
 
膝が内側に入る使い方となると、
骨盤は接地している脚に対して反対側が低くなるように傾きます。こうなると坐骨神経をお尻の筋肉が圧迫しやすくなり症状を引き起こしやすくなります。
 
 
ランニングは左右の脚を交互に動かし続ける競技なので、負担は蓄積していきます。
 
しっかりとケアをしたり、休足したりとメリハリをつけないで、走る距離が延びたり、走る強度をあげたりすると、症状としてあらわれてきます。
 
 
こんな体に負担のかかる間違った動きはしない方がいいのは明白ですね。
 
 
ではその「間違った動きを変える」方法、
ニーイントゥーアウトを改善する方法についてお伝えしますね。
 
 
 
 
ニーイントゥーアウト改善の徒手的アプローチ
 
ニーイントゥーアウトの徒手的アプローチとは、ニーイントゥーアウトとなってしまう原因である硬くなってしまっている筋肉を緩めていきます。
 
代表的な筋肉としては、
・股関節の前の筋肉
・内ももの筋肉
・膝裏の筋肉
 
この3つがあげられます。(筋肉名で言うとたくさんとなるのでわかりやすく大雑把な表現にしています)
 
 
具体的な場所をイラストで上げると以下の通りとなります。
 
股関節の前の筋肉
具体的には大腿骨頭前にある腸骨筋やそのやや外側にある大腿直筋、さらに外側の小・中殿筋や大腿筋膜張筋、その他大腿神経などもターゲットとなります。
 
 
 
内ももの筋肉
具体的には長内転筋と縫工筋の交差する丸のところが内もものターゲットです。
 
 
 
膝裏の筋肉
ハムストリングスと腓腹筋の交わるところや膝窩筋が主なターゲットです。
 
上記の解剖イラストはVisible Bodyのご厚意により使用させていただいております。
 
 
 
上記に上げたところの筋肉などの組織間のくっつき合いを剥がして(リリースして)いきます。
 
当院では、
組織間リース という手法を用いて筋肉が本来持つ動きを蘇らせていきます。
 
 
 
 
 
ニーイントゥーアウト改善の運動療法 
 
シンスプリントで足に痛みが出る要因で考えられる動作としてニーイントゥーアウトがあるとお伝えしました。
 
 
このニーイントゥーアウトには片脚立ち時の重心位置の乱れも関係していることが多いです。
 
 
ニーイントゥーアウトを改善していくためには片脚立ち時の重心位置を安定させることから始める必要があります。
 
 
膝だけ内側に入らないようにトレーニングするだけでは、片脚立ちを連続で行うランニングでは連動性が保てません。
 
 
これには片脚立ちを安定させてくれる中殿筋という筋肉をしっかりと働かせてあげる必要があります。 
 
 
その中殿筋を働かせるために、
よく横向きでのサイドブリッジ(サイドプランク)というエクササイズがありますね。
 
 
中殿筋や体の側方の安定性を構築していくためには非常に有効なエクササイズですが、実はこのエクササイズだけでは
片脚立ちでしっかりと重心位置を定めるために働かせる中殿筋をランニングに活かしていくことはできません 
 
 
それをしていくために必要なのは
しっかりと片脚立ちの時に上半身が脚の上に乗っかるような形で中殿筋を活性化させることです。 
 
 
以下の写真は歩行を正面から見たものです。
右は荷重している脚の重心線上にみぞおちがあります。
 
左は脚の重心線上から荷重している脚と反対側にみぞおちがずれ、骨盤は荷重方向にスライドしています。
 
 
右のような状態が、片脚立ちの時に上半身が脚の上に乗っかっているということです。これにより左右のぶれが少なくなり効率的なランニング動作となっていくのです。
 
 
 
それを踏まえた簡単にできる片脚立ちで行う中殿筋のエクササイズを1つ紹介をします。
あくまでも入口のエクササイズです。
 
 
 
 
中殿筋を使って同側の骨盤を持ち上げるエクササイズなのですが、これも行い方によっては中殿筋ではなく、反対側の脇腹の腹筋を使って骨盤を持ち上げることをメインにして行ってしまうこともあるので注意が必要です。 
 
 
 
しっかりと片方の脚の上に上半身を乗っけて安定させることができるようになってくること、これが第一段階です。
 
 
なぜならニーイントゥアウト、それに伴う足底の土踏まずの低下、外反母趾を改善させるために必要なのは、この立位時に片脚立ちを安定させてくれる中殿筋がうまく使えていないことが大きな要因となるからです。
 
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参考文献(抜粋)
『身体機能および片脚ドロップジャンプ着地期の下腿回旋角度からみたシンスプリント発症者の身体的特徴 』
https://www.reha.kobegakuin.ac.jp/~rehgakai/journal/files/no11-2/ronbun07.pdf
・疼痛群において股関節内旋角度が大きい傾向にあった
・股関節外転筋力が弱い傾向にあった
・片脚ドロップジャンプは30㎝の台から行った。足尖接地時に下腿外旋角度が大きい
股関節外転筋群の低下は片足着地時に股関節内転内旋を増大させ、膝関節においてニーインが増大する
股関節外転筋力の不足は片足着地時に膝関節および下腿にマルアライメントを生じさせる
股関節外転筋力および膝関節屈曲筋力の低下、これに加えてアーチ高率の低下といった身体的特徴を持つことにより、着地時に過剰な下腿の回旋を引き起こすとされ、着地時の短時間での過剰な下腿回旋の変化が脛骨へのねじれストレスを与えると考えられる。この過剰なねじれストレスがシンスプリント発症に関与する素因の一つと考えられる
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上記を踏まえた上で、
膝が内側に入るというニーイントゥーアウトを改善させる使い方を身につける必要があります。 
 
 
ランニングの片脚立ち時にしっかりと親指の付け根の母指球に荷重をしながら膝を外に出していく、この動作が必要になります。
 
 
これを普段のトレーニング、ウォーミングアップで意識的に行い、その意識的に行ったものがランニング中に無意識に行えるようになります。
 
 
これが非常に大切なポイントとなってきます。 
 
 
この中殿筋のエクササイズが入口としたら、
 
第二段階として
片方の骨盤を持ち上げ、その状態のままもも上げをします。
 
第三段階として、
片方の骨盤を持ち上げスプリットスクワットをします。この際膝が足指の内側に入らないようにコントロールすることも意識していきます。
 
第四段階として片脚スクワットをします。ここでもニーインしないことを意識していきましょう。
 
 
上記までまとめた動画はこちらとなります。
 
 
 
 
あくまでもこれは一例ですが、
段階的にしっかりと脚の上に上半身が乗るようにしながら、少しずつ負荷を上げていくことでランニング動作に近づけていきます。
 
 
そのためにトレーニングでは徹底して膝を内側に入れずに外に出していく動作をしていく必要があります。 
 
 
そのために必要なエクササイズは、
例えばデッドリフト(以下のイラストのエクササイズを片脚で行います)や、
 
そのデッドリフトの姿勢から、
しっかりと胸椎を回旋させて連動性を出してくるエクササイズにつなげていくことも有効です。
 
 
これはランニング時の腕ふりとのつながりが出てくるので、こういったエクササイズも取り入れていくことで全身を使ってしっかりと地面に踏み込むエネルギーを伝えていくことができるようになります。
 
 
これらにより負担を分散させつつ効率的に走る体のベースを身につけることができます。
 
2024年11/2更新
 
 
 
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