2025/4/9

足関節捻挫、アキレス腱炎、肉離れ、各疾患における超音波療法について

足関節捻挫、アキレス腱炎、肉離れ、
各疾患における超音波療法について

 

 
 
超音波療法についてまとめ
スポーツ外傷における超音波療法の効果
 
 

足首の捻挫(足関節捻挫)と超音波療法


▶ 背景

足首の捻挫は、靭帯(特に前距腓靭帯)の損傷が多く、炎症・腫れ・痛み・可動域制限及び不安定性が主な症状です。

 

▶ 超音波の効果

  • 急性期(48時間以降〜)
    ・腫れや浮腫を軽減し、リンパや静脈の循環を促進
    ・組織の代謝を高め、修復を早める
    ・鎮痛効果によって早期のリハビリ介入が可能になります

  • 回復期〜リハビリ期
    靭帯組織のリモデリング(再構築)を促進
    瘢痕(かさぶたのような硬い組織)の過形成を抑えることで、柔軟性を保ちます

▶ エビデンスの一例

  • 一部研究では、超音波群の方が痛みの軽減が早く、歩行能力の回復も早かったという報告あり(Therapeutic Ultrasound for Acute Ankle Sprain, Clin Rehabil)。

 

 

アキレス腱炎と超音波療法


▶ 背景

アキレス腱炎は、オーバーユース(使いすぎ)による腱の炎症で、ランナーやジャンプ系スポーツに多い障害。

 

▶ 超音波の効果

  • 低出力超音波(LIPUS):細胞レベルで腱の修復を促す。特に腱細胞の増殖・コラーゲン産生の促進に関与。

  • 血流促進・浮腫軽減:痛みと硬さを減らし、早期に歩行・ランニング動作に復帰しやすくなる。

  • 他の治療(ストレッチ、運動療法等)との併用で効果がより高まる傾向。

 

▶ エビデンスの一例

  • 動物モデルでの研究にて、LIPUSがアキレス腱の細胞修復や炎症抑制に効果があったと報告あり(Warden et al. 2006)。

  • 臨床試験では、LIPUS使用群の方が痛みの軽減スピードが早かったとするデータも存在。

 

 

肉離れ(筋損傷)と超音波療法


▶ 背景

筋肉の過度な収縮や引き伸ばしによって筋繊維が損傷した状態。太ももやふくらはぎに多い。

 

▶ 超音波の効果

  • 血流促進による治癒促進:損傷部位の代謝を高めて再生を促す。

  • 線維化(硬くなること)を防ぎ、柔軟性を維持:再発リスクを下げる

  • 筋膜の癒着防止や可動域改善に有効

  • 鎮痛効果により、早期のストレッチやエクササイズ介入がしやすくなる

 

▶ エビデンスの一例

  • 人間対象の研究では、肉離れ後の超音波使用により治癒日数が短縮された例があり(Nicol et al. 2015)。

  • 超音波は、筋損傷治療における補助療法として有効と結論付けられている研究も複数あります。

 

 

超音波療法使用時の注意点

  • 出力や周波数の設定は症状や部位に応じて調整が必要(例:浅部なら高周波/深部なら低周波)

  • 過度な使用は逆効果の可能性もあるため、医療従事者の指導のもとで実施すべき

  • 急性期すぐ(炎症ピーク)では避けたほうがよいこともある

 

 

まとめ表

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<thead data-start="1433" data-end="1506"><th data-start="1433" data-end="1446">症状</th><th data-start="1446" data-end="1489">超音波療法の主な効果</th><th data-start="1489" data-end="1506">使用タイミング</th></thead>
足首の捻挫浮腫軽減、靭帯修復促進、可動域回復急性期後〜回復期
アキレス腱炎炎症軽減、コラーゲン合成促進、痛み軽減亜急性〜慢性期
肉離れ(筋損傷)血流促進、瘢痕防止、鎮痛、再発予防損傷直後は慎重に、回復期に有効
 
 
 
 
参考文献
足首の捻挫に関する論文
Cryo plus Ultrasound Therapy, a Novel Rehabilitative Approach for Football Players with Acute Lateral Ankle Injury Sprain: A Pilot Randomized Controlled Trial
著者: Marín Fermín T, Al-Dolaymi AA, D'Hooghe P
掲載誌: PubMed
概要: この研究は、急性外側足関節捻挫を負ったセミプロサッカー選手を対象に、クライオ(冷却)と超音波療法を組み合わせた新しいリハビリ手法の短期的な効果を評価しています。
日本語訳: このパイロットランダム化比較試験では、急性の外側足関節捻挫を負ったサッカー選手に対し、従来の理学療法に加えてクライオと超音波療法を組み合わせた治療法が、回復を促進する可能性があることが示唆されました。​

アキレス腱炎に関する論文
Preliminary Treatment of Achilles Tendinopathy Using Low-Intensity Pulsed Ultrasound
著者: Hsu AR, Holmes GB
掲載誌: PubMed
概要: この研究では、低強度パルス超音波(LIPUS)を用いたアキレス腱症の初期治療の効果を評価しています。
日本語訳: LIPUSは使用が容易で、患者にとって耐えやすく、初期の臨床結果は有望であるが、腱障害の代替治療法としての長期的な利点、欠点、および費用対効果を判断するためには、さらなる研究が必要であると結論付けられています。​

 Low-Intensity Pulsed Ultrasound Promotes the Repair of Achilles Tendinopathy by Downregulating the JAK/STAT Signaling Pathway in Rabbits
著者: Liu M, Zheng Q, Zheng Y, Yao Y, Wang R, Ta D, Jiang L
掲載誌: PubMed
概要: この研究は、LIPUSがウサギのアキレス腱症の修復を促進するメカニズムとして、JAK/STATシグナル伝達経路のダウンレギュレーションを介して炎症およびマトリックス関連因子を調節する可能性があることを示しています。
日本語訳: LIPUSは、JAK/STATシグナル伝達経路をダウンレギュレーションすることで、炎症およびマトリックス関連因子を調節し、アキレス腱症の修復を促進する可能性があると結論付けられています。​

肉離れに関する論文
Effects of low-intensity pulsed ultrasound on injured skeletal muscle
著者: Chan YS, Hsu KY, Kuo CH, Lee SD, Chen SC, Chen WJ, Ueng SW
掲載誌: PubMed
概要: この研究では、LIPUSが損傷した骨格筋の修復に及ぼす影響を評価しています。
日本語訳: LIPUSは、損傷部位での組織構造をより組織化し、COX-2の発現と新しい筋線維の形成を刺激することで、筋肉損傷の治癒を促進する可能性があると結論付けられています。​

 
 
 
 
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